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【長田昭二 ブラックジャックを探せ】アルツハイマー型認知症の第一人者、対症療法から“ならない医療”確立へ 順天堂医院メンタルクリニック科長・新井平伊さん (1/2ページ)

★順天堂大学大学院教授・順天堂医院メンタルクリニック科長・新井平伊さん(64)

 超高齢社会に生きる日本人にとって、がん、糖尿病と並ぶ大きな不安要素となる疾患が「認知症」だ。順天堂大学精神神経科教授の新井平伊医師は、この認知症、中でも「アルツハイマー型認知症」の研究において、国際的な知名度を誇る第一人者だ。研究者として実績を重ねる一方、順天堂医院メンタルクリニック科長として、臨床の最前線に立ち続ける。

 精神科医の父を持ちながら、医学部進学時は外科医志望だった。しかし、実際に医学を学ぶ中で、「数値やデータ、動物モデルだけでは語ることのできない領域の面白さ」に魅了されて精神科に進路を選ぶ。

 「“人の間”と書いて人間-。つまり人間は、社会の中でコミュニケーションをとって初めて生きていくことのできる動物なんです。精神科は、そんな人間の生き方や社会の在り方、さらには時代の移ろいなどを考慮に入れて考えていく唯一の診療科。一人ひとりの患者さんと人生を共有できる喜びがあるんです」

 自身の専門である認知症研究も日進月歩だ。病気のメカニズムや新薬開発に向けた研究が世界中で進む中、新井医師は明るい見通しを語ってくれた。

 「病態解明は“峠を越えた段階”に差しかかっています。治療法も、現在は対症療法が主ですが、今後はもっと川上の部分での医療介入が可能になるでしょう。つまり“認知症を治す”のではなく、“認知症にならない医療”の確立です。いずれにしても、のんびりできる状況ではないし、社会のニーズの大きさを感じていますが、その期待がストレスではなく、やる気を沸き立たせてくれるんです」と前を向く。