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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「輪」》心に重しが マンション理事会が輪番制導入

 生まれて初めて、目が回る経験をした。3連休の中日、持ち帰った仕事で夜更かししたまま、リビングの隅で眠り込んでしまった。朝になって身体を起こしたが、一呼吸おいて頭の中がぐるぐる回る。「ああ、目が回るってこういうことなんだ…」。とても起きていられず、再び横になった。

 しばらくして携帯電話が鳴った。仕事の連絡かもしれないと、跳ね起きて出た。椅子に座ってしゃべりながらも、ぐるぐる回っている。相手の言っていることは分かる。自分も舌がもつれたりせず普通にしゃべっている。だから、寸刻を争う脳の疾患ではないだろうとぼんやり考えた。

 しばらく休んだらすっきりしたので、とりあえずは不自然な体勢で長時間寝たためだと思うことにした。

 1人暮らしで何かあったら、だれも気づいてくれない。5年ほど前に今のマンションに引っ越してきて、両隣の人と顔が合えばあいさつする程度。近所づきあいもない。防災訓練などは、家族で参加しているところに交じるのは気が重く、ずっとさぼってきた。

 集合住宅で高齢者が孤立して、周囲に気づかれずに認知症トラブルを引き起こすケースが増えていると聞く。会話が少ない生活を送っているので、私も仕事をやめたら早々にぼける可能性は高いし、健康面の不安もつきない。遠からぬ将来を真剣に考えねばという危機感が一挙に押し寄せてきた。

 昨年からうっすら心の重しになっていることがある。マンション理事会で役員のなり手が少ないため、輪番制が導入されることになったのだ。階ごとの部屋番号順で、未経験者が優先。早々に順番が回ってくる。

 役員改選の時期を迎え、立候補者を募るちらしがポストに入っていた。仕事が忙しいという言い訳は通じない。仕事でも何でも、自分から動き出すのが苦手な性分。これも地域の網の目に引っかかるチャンスと思って、輪番を待ち受ける覚悟が決まりつつある。(N)

 【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。2月のお題は「輪」です。

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