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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】ドイツロココ建築の最高傑作「ヴィースの巡礼教会」 「キリスト伝説」多く、品良く清楚な雰囲気漂う (1/2ページ)

 3月17日、今年の世界文化遺産登録が期待されている「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の1つである大浦天主堂で「信徒発見」を記念するミサが行われました。「信徒発見」とは厳しい禁教令と宣教師がいない状態が250年間も続いたにもかかわらず、キリスト教信仰が受け継がれていたことがフランスのプティジャン神父によって明らかにされた1865年3月17日の世界宗教史上に残る歴史的な事件です。

 大浦天主堂は日本に現存する最古のキリスト教建築物で国宝にも指定された美しいゴシック様式の教会ですが、私にとって美しい教会といえばやはりドイツのヴィースの巡礼教会を連想します。ヴィース教会は有名なロマンチック街道の終点フュッセンに近いシュタインガーデンの草原の中に建つ小ぢんまりとした教会で、外観からは想像もつかない華やかな装飾に満ちていて、設計はドイツ・ロココの完成者として名高いドミニクス・ツィンマーマンです。天井画は「天から降ってきた宝石」と称賛され、壁や柱はすべて純白でパステルカラーと引き立てあい、アクセントに使われている金色と調和して品の良い美しさを現出しており、清楚(せいそ)な雰囲気が漂っていて心が洗われます。

 また、ヴィース教会には「ヴィースの奇跡」と呼ばれる伝説が残っています。それは教会に近いシュタインガーデンの修道院に「鞭(むち)打たれるキリスト」の木像がもたらされるも、あまりにも悲惨な姿であったため、屋根裏部屋に放置されました。それを見つけた農婦マリア・ロリーがこの像を譲り受け、熱心に祈りをささげたところ、1738年6月14日の夕拝にキリスト像が涙を流し始め、この奇跡に驚いたロリー夫妻が牧草地にあった小さな礼拝堂にキリスト像を安置したのです。

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