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【阿部亮のつぶやき世界一周】中国の「大躍進」は最悪の愚策 最大4000万人死亡

 最近知り合いになった中国人の男性から聞いた話では、彼の父親が子供の頃「大躍進」が始まって、翌年の春までに2歳の妹と3人のいとこが栄養失調で死亡、それから3年の間に母親の祖母と親類も数人餓死したという。それほど彼の親族を殺した「大躍進」とは何か。

 1957年、ソ連のフルシチョフが「15年以内に工業・農業生産においてアメリカを追い越す」と宣言。これに対抗すべく、中国の毛沢東は58年、当時世界第2位の経済大国だったイギリスの農・工業の生産指標を「15年で追い越す」と、「大躍進」を立案・実施した。

 主要なものとして知られているのが大製鉄・製鋼運動。当時の中国には、近代的な溶鉱炉も高度な製鉄の技術者も存在しておらず、また十分な原材料も入手困難な状態。それでも鉄鋼の大増産を目指して、原始的な溶鉱炉を全国の都市、農村に多数設置した。溶鉱炉のための耐火れんの不足には寺院や城壁など、歴史的建造物の解体までして対応した。

 また製鉄のための火力確保の目的で、全国で樹木を大伐採し、果樹や園芸用の潅木(かんぼく)まで燃料にした。鉄鉱石不足には、鉄製の各種設備や構築物、農機具や炊事用具まで供出させた。結果的には、生産された鉄の6割はクズで役立たずだった。

 そしてもう一つが四害駆除運動。ハエ・蚊・ネズミと農作物を食うスズメを全国で大量捕獲した。結果は約150万羽のスズメの駆除で生態系が破壊され、翌年から害虫が大繁殖。作物が食い尽くされて大飢饉(ききん)に陥り、数年で最大4000万人が死亡、国土も大荒廃した。

 史上最悪の愚策だった。

 ■阿部亮 北海道札幌西高等学校卒業。19歳で陸路を世界一周。ニッポン放送「阿部亮のNGO世界一周!」のメインパーソナリティ。ミャンマー、ネパール、カンボジア、ブルキナファソ(西アフリカ)に12校の学校を建設している。

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