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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】研修施設をビール工場にリノベーション 「水」に恵まれた新工場で再出発 (1/2ページ)

★埼玉県「コエドビール」(下)

 コエドビールの母体は、埼玉県川越市にある有機野菜の専門商社、協同商事だ。1996年に、川越の特産品であるサツマイモを原料にした地ビール「サツマイモラガー」を世に出し、全国にその名を知られるようになった。

 2006年には商品名をCOEDOにし、パッケージをオシャレに一新。ドイツ仕込みのスッキリとしたラガースタイルを前面に出して再スタートを切ると、その実力が認められ国内外のコンテストで受賞を重ね、世界15カ国に輸出されるようになった。

 やがて1997年に建設した三芳工場は手狭になり、新工場の土地を埼玉県内で探したところ、東松山市の郊外に白羽の矢が立った。ビールの90%は水なので、良質な天然水が敷地内から得られること、プラントは重量物なので、地盤が良いことなどが決め手になったという。

 16年に移転した新工場を訪ねると、赤いレンガの立派な建物が、広大な敷地に建っていて驚いた。じつはここは、元リコーの研修施設で、コエドビールは建物ごと購入し、ビール工場にリノベーションしたのだ。

 工場を見せてもらうと、入口は密閉できる防火扉をそのまま利用。廊下は台車などが通れるよう、タイルを剥がして防塵塗装している。研修用の教室は、壁をぶち抜いて仕込み釜や発酵タンクを設置した。かつて重いコピー機が乗っていたエレベーターには、小型のフォークリフトなら楽に乗せることができる。まるでビール工場になるのを待っていたかのような建物だ。