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【BOOK】村山由佳さん 「過労自死」の悲劇は誰にでも起こりうる…女性が企業と闘う姿に見る「強さとしなやかさ」 (1/3ページ)

★村山由佳さん『風は西から』幻冬舎1600円+税 

 恋愛小説からサスペンスまで、またモラル・インモラルを行き来する数多くの作品を世に送り出してきた。今作のテーマは「過労自死」。だれもが陥りかねない危険な橋をどう避ければいいのか教えてくれる。(文・冨安京子 写真・寺河内美奈)

 --物語は千秋と健介の穏やかで仲むつまじい会話から始まります

 「大手外食産業に勤める健介は過酷で理不尽な労働環境に追いつめられ、過労自死を選ぶことになります。そうした悲劇は恋人たち、家族などごく普通の人々の身にいつでも起こりうると言いたかったんです」

 --「テンプク」と「ドック入り」。健介が次第に追いつめられていく場面で使われる言葉です

 「両方とも船から連想しました。テンプクは赤字を計上してしまうこと。ドック入りとは経営者側の人間を前にその弁明をさせられる場と行為の意味。最初に私が勤めた会社のトップは社員を家族に、会社を船に例えてました。家族全員が一丸となってがんばれば船は必ずいい方向へ向くと声を大にして熱く語り、自分の理想で社員の心を引きつけるタイプです。健介は休日なしの長時間労働の末ついにテンプクし、トップからの言葉のリンチに遭い窮地に立ちます」

 --健介はトップの人間性に魅せられ就職したのに

 「巧みに言葉を操る権力者は、自分が正義と信じるもののためには行動をいとわず、それを世の中に公言してはばからない。その強烈なカリスマ性に憧れ心酔するのはどんな性格の人間かと考え、責任感・正義感の強い一本気なキャラクターを健介に与えました」

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