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【BOOK】帚木蓬生さん、歴史小説の執筆動機は「庶民書かない作家への腹立たしさ」 (1/3ページ)

★帚木蓬生さん 吉川英治文学賞受賞作『守教』上・下(新潮社、各1600円+税) 

 第52回吉川英治文学賞を受賞、作家デビューから40年目の記念に花を添えた。禁教時代に苦闘したキリシタンを描いた本作。折しも今月、世界文化遺産としてもキリシタンが注目を浴び始めた。「私はパートタイム作家、非正規雇用」と話す九州在住の“反骨”精神を聞いた。(文・竹縄昌 写真・佐藤徳昭)

 --受賞おめでとうございます

 「ありがとうございます。25年前に『三たびの海峡』で(同新人賞を)受賞したときは、授賞式で半島からやってきて炭鉱で死んだかわいそうな人たちを思って涙が出ましたが、今回は全国で殉教した宣教師や信徒がよく書いてくれたと、祝福してくれていると思い、涙は出ませんでした。もちろん、『三たびの海峡』のときも世間から知られず異国で死んだ俺たちを書いてくれ、というような衝動を感じていましたが」

 --執筆のきっかけは

 「有馬藩は領民がとても苦労した藩で、一揆が享保と宝暦の2回も起きています。そんな藩はなかなかないんです。苦労を重ねた名もなき農民たちを書こうと思って書いたのが『水神』。続いて、『天に星、地に花』、そして本作が筑後有馬藩三部作の3作目です。中学生の頃、自転車で、今村(太刀洗町)を通ると立派な教会(今村教会・1913年完成)がある。なんでだろうと親や周りの大人に聞いてもわからなかったんです。謎が解けました。知らないまま死んでいたら悔いが残ってた」

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