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【BOOK】静かに燃える青い火の物語「人が人に惚れる姿をぜひ」 柚月裕子さん『凶犬の眼』 (1/3ページ)

★『凶犬の眼』 KADOKAWA 1600円+税 

 小説と同名の映画『狐狼の血』が公開中で人気を呼んでいる。「仁義なき戦い」を彷彿させる男臭さとエロスが横溢する。その原作者はデビューから10年になる閨秀(けいしゅう)の作家。自身は「オヤジ脳」を自認、続編となる『凶犬の眼』もまた義侠心を揺すぶられるハードボイルドである。(文・竹縄昌 写真・古厩正樹)

 --映画が好評です

 「東映さんが力を入れてくださりありがたいです。女性が見ても絶対かっこいいと思います」

 --第2作執筆の動機は

 「実は『狐狼の血』は1作で終わりだと思って書いた作品でした。けれどその後の読者の反響、版元の角川さんの続編の依頼も出てきました。でも、どこから続編を始めるか迷いました。『狐狼の血』の最後の年表では、日岡(本作の主人公となる若手刑事)は駐在所に飛ばされますが、堂々と(先輩)大上の血を受け継いだ日岡を書こうか、でも、それはやはり違うと思いました」

 --違うとは

 「継承というか、一般的にも何かの技術を受け継ぐ側がそれを自分のものにするには時間がかかります。その時間を飛ばしたくなかったのです。咀嚼(そしゃく)して自分のものとして出すまで、日岡にはしっかり悩んでほしかった。でも、私にも悩みが出てしまいました。牧歌的な土地に暴力団が絡む話なので、そこで何が書けるのか。国光という逃亡犯を登場させることによって日岡の成長と物語に動きを出せるかなと思い、書きました。国光というぶれない男と関わることで、自分もぶれないようになっていく、そうした日岡に仕上がっていると思います」

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