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【BOOK】世界遺産決まった天草が舞台 素人が航空会社を立ち上げるプロジェクトX的実名小説『島のエアライン』 (1/2ページ)

★黒木亮さん『島のエアライン』(上)(下)巻 毎日新聞出版 1500各円+税

 世界遺産登録が決まった天草を舞台に、地方の行政マンが起こす「奇跡の物語」。自前で、空港をつくり、航空会社まで立ち上げて、どんな困難が待ち受けようが、夢をあきらめない。丹念な取材で知られる経済小説の名手が「実話を、実名で」描いたノンフィクション小説の傑作だ。(文・南勇樹、写真・早坂洋祐)

 --実在の小さな航空会社「天草エアライン」を題材にしたのは

 「2011年でしたか、(産経新聞に連載した)『法服の王国』の取材で天草へ行くときに、小さなエアラインが飛んでいることを知りました。福岡-天草間を乗ったのですが、窓越しに雲仙岳が見えて遊覧飛行しているみたい。それで料金は片道1万円ちょっと、これは面白いと思いました。飛行機の話って夢があるでしょ。会社員時代には航空機ファイナンスの仕事を手掛けたこともあって、かねてから興味を持っていたんですよ」

 --素人の行政マンが飛行機を購入したり、パイロットやキャビンアテンダントを集めて育てたり…まさに“プロジェクトX”

 「空港はできたけれど、就航を見込んでいた民間の航空会社の進出やリゾート計画も頓挫してしまい、自分たちでやるしかない。予算がないから、持っている飛行機は小さな1機だけ。こんな航空会社は、他に知りません。もちろん、素人ゆえの失敗もありましたし、相変わらず、経営環境は厳しいけれども、世界遺産への登録は追い風になると思いますよ」

 「それに、地方では優秀な人材が県庁に集まるんです。都会のように大企業の就職先はありませんからね。そこへまた、いろんな人材が集まってくるところが面白い。大手航空会社のOBから、政府専用機のパイロット、キャビンアテンダントのレベルなんか、大手より上かもしれませんよ」

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