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【ドクター和のニッポン臨終図巻】高座に上がるためにやれることを… 桂歌丸さんの姿がCOPD患者の勇気に (2/2ページ)

 そして今年4月14日、国立演芸場で昼夜2回の高座に上がった後、体調が悪化。息苦しさを感じて、酸素を主治医に言われた量より勝手に増量したそうです。

 しかし、COPDでは酸素を吸い過ぎると今度は血中に二酸化炭素が溜まってしまい意識障害など重篤な事態を引き起こしてしまいます。ですから、COPDの人は酸素の量を自己判断で増やすのは絶対にやめてください。

 歌丸さんはその後入院、全公演をキャンセルしました。この頃に絶命してもおかしくない状態だったようですが、奇跡的に持ち直し、病室にお見舞いに来たお弟子さんに、苦しい様子を見せながらも、ギリギリまで小言を言っていたそうです。最期の2カ月は、本人の望みとは少し違う日々だったかもしれません。しかし、それよりも落語への思いが勝ったのでしょう。

 7月2日、横浜市の病院で死去。81歳でした。1週間後の『笑点』で、円楽さんは泣いていました。「最後に言わせてください。じじい! 早すぎるんだよ!!」

 山田君、座布団全部…の声はもう、聞こえませんでした。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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