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【大人の発達障害】社会参加に必要な2つのスキルとは? 身につけるには周囲の理解が不可欠 (2/2ページ)

 たとえば発達障害の人の中には、ジェネラリストよりもスペシャリストに徹してもらうほうが、会社のためにも本人のためにもよい結果になる人がいると本田医師は話す。

 「それなりの規模の会社では、新人研修などでいろいろな部署に社員を一定期間在籍させて経験を積ませますが、発達障害の人、とくに自閉スペクトラム症(ASD)の人にこれをさせると、得意な部署では力を発揮できるのに、苦手な部署ではうまく仕事ができません。本人も周囲も疲弊してしまい、会社にも利益にならないことが多いのです」

 発達障害の人が社会参加(一般企業で働くことを含む)できるかどうかは、「自律スキル」と「ソーシャルスキル」がどのくらい身についているかにかかっているという。

 「自律スキル」とは、適切な自己肯定感を持ちながら、自分にできることは確実に行う意欲を持つことができ、なおかつ無理はしすぎないという自己コントロール力のことだ。「ソーシャルスキル」とは、社会のルールを守ろうという意欲があり(※しかし、ただ単純に周囲に合わせる協調性ではないことに注意)、自分の能力を超える課題に直面したときに誰かに相談できる力のことである。

 発達障害の人たちは、独力でこれらをバランスよく両立して身につけることが難しいという。そのため、可能な範囲での会社や周囲の理解や協力が必要だ。昔でいうところの「お互いさま」の精神を、営利目的の集団である企業でも、可能な限り取り入れていくべきだろう。

 この示唆は、どんな人であっても仕事を教える上で、そして自身で仕事などの力をつけたいときに必要な考え方だ。他人を思いやる精神は、定型発達の人であっても、まだしっかり身についていない人や、キャリアを重ねててようやく身につく人もいるはずだ。(石井悦子)

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