記事詳細

【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】酒づくりは「科学」「センス」「情熱」 柔らかいのにスッキリとキレる「三井の寿」 (1/2ページ)

 「三井の寿」(みいのことぶき)は、福岡県大刀洗(たちあらい)町にある純米蔵だ。鑑評会用にタンク1本だけ大吟醸をつくっているが、毎年金賞や入賞を受賞する銘醸蔵でもある。その酒をつくっているのが、専務で杜氏の井上宰継さんだ。

 「やはり鑑評会は重要。私が偉そうなことを言えるのは、鑑評会で実績があるからです。だからずっと金賞を取りたいと思っていました」

 27歳で蔵に戻ってきた井上専務は、菊姫で修業した杜氏の下で、蔵人となって働いた。さすがに山廃の本場から来た杜氏なので、山廃の酒づくりはうまかった。問題は速醸だ。速醸がうまくできないと、金賞は取れない。案の定、苦みや渋みが気になる酒では、賞は取れなかった。

 井上専務は、「麹のつくり方がおかしいのでは?」と密かに思っていた。菊姫の石川県は雪深い中で酒づくりをする。湿気があるので、麹をカラカラに乾燥させてからタネを振ると習った杜氏は、その通りにしていた。ところが福岡は乾燥しているのだ。同じつくり方ではいけないのではないか?

関連ニュース