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【ドクター和のニッポン臨終図巻】「逃げない」貫いたマサ斎藤さん 引退後も20年間リハビリ続ける (2/2ページ)

 パーキンソン病は、脳の中にあるドパミン神経が脱落していくことで、歩行や日常生活に支障をきたしていく病気です。手足の震えや動作が遅くなることで、病気に気づく人が多いです。ダンスなどのリハビリ療法が有効です。

 いくつかの薬が存在しますが、どれも進行を遅らせるためであり、完治するための薬はありません。しかし適切な治療やリハビリにより通常、発症してから10年程度は普通に生活が可能ですし、平均寿命も健康な人とさほど変わりません。

 ただ、多剤投与やパーキンソン病の薬が多すぎて症状が悪化している人が少なくないのです。薬のせいで認知症と似た症状が出ている人もいます。重度の人が私の外来に来た場合、まずどんな薬が処方されているかをチェックします。

 マサさんのパーキンソン病が発症したのは、プロレスを引退して間もない56歳の頃でした。それから約20年、毎日リハビリを続けていたそうです。「絶対に負けるもんか」と語っていました。もはや伝説となっている1987年、アントニオ猪木との〈巌流島の戦い〉同様に、長い長い闘いでした。一流選手の証しとは「逃げない」ことかもしれません。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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