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【BOOK】「失われゆく場所を書くことが性愛に」 花房観音さん『うかれ女島』 (1/3ページ)

★花房観音さん「うかれ女島」(新潮社、1800円+税)

 官能小説の大家の名を冠したコンテストでデビューして8年。新作は官能の流れを汲みながらも“水質”を変え、男が抱く先入観を剥がす快作だ。“第2のデビュー作”とも評された本作にかける新境地を聞いた。(文・竹縄昌 写真・斎藤良雄) 

 --執筆のきっかけは

 「10年ぐらい前ですが、バスガイドの派遣会社の事務員をやっているとき、パソコンでバス会社から送られてくるコース表に“渡鹿野島(わたかのじま)”とあったのです。なんと読むのだろうとネットで検索したら、“売春島”“売春島”と文字が並ぶのです。いったいこれはなんだと思ったのがまず最初。現代にこんな場所があるのかと思ったのと、井原西鶴の『好色一代男』の主人公の世之助が渡る女護島(にょごのしま)のモデルとも言われていて、江戸時代からあったこともすごいと思い、3年前に行きました」

 --印象はどうでした

 「ちょっと不思議な島でしたね。くだんの場所はほとんど廃墟でさびれてしまっていました。折しも2016年にサミットが開かれることになって、それにつれて島の“産業”は終わってしまう。そう考え、サミットの1、2カ月前に2度目の旅をしました。実際、サミットの前に女の子が島を去ってしまっていたので、失われいく場所を小説という形で残したいと思ったのが一番の動機です」

 --京都を舞台にした作品が多かったですよね

 「“京都縛り”とか“官能縛り”とか言われてましたね。3年前はちょうど、新潮社さんから書き下ろしの依頼をいただいていて、何を書いてもいいということでしたから渡鹿野島に行ってみたんです。2回目のときは明確に書こうという意志を持っていました」

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