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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】酒好きヒロイン感涙の“No.6” 秋田県「新政」 (1/2ページ)

★秋田県「新政」(上)

 ちょっと手前味噌だが私が原案を担当した漫画『酒と恋には酔って然るべき』(はるこ作、秋田書店)の第1巻が先月発売された。32歳OLと、会社の年下クール男子のラブストーリーに、毎回日本酒がからんでくる。登場するのはすべて実在の日本酒で、酒好きの主人公松子が最も大事にしているのが秋田の銘酒「新政(あらまさ)No.6」なのだ。

 松子はこの酒を飲み、感動して泣く。そして「日本酒独特のクセのある薫りがしないのに、しっかり日本酒…なめらかで美しい!」「白ワインに似ているけど、酸味が柔らかくてスルスル入る…」と言うのだ。

 新政No.6が発売されたのは6年前。それまでの日本酒にない味わい、そして物語と思想を持った酒が、日本酒業界に与えた衝撃は大きかった。つくったのは蔵元で杜氏の佐藤祐輔社長だ。

 東大出身で元ジャーナリストという、蔵元としては変わった経歴。蔵を継ぐ気はなかった。「でも30歳少し前に、礒自慢を飲んで、これはすごい! と思ったんです」

 それからは日本酒にのめり込み、地酒専門店のはせがわ酒店へ行ったり、東京・荻窪の名店「いちべえ」に通ったりして、銘酒といわれる酒を飲み尽くした。2005年からは、本格的に広島の酒類総合研究所で酒づくりを学び、07年の秋に蔵へ帰ってきた。33歳の時だった。

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