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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】“きれいな酸味”木桶で進化 秋田県「新政」 (1/2ページ)

★秋田県新政(下)

 秋田市内にある新政(あらまさ)酒造から、優良な天然酵母が発見されたのは1930年。優秀な日本酒をつくる蔵の酵母は、日本醸造協会で培養され、全国に配布される。新政酵母も「きょうかい6号酵母」として全国に広まり、現在でも各地の蔵で使われている。

 1~5号は戦前に配布が中止されたので、新政の6号酵母が現存する最古の協会酵母だ。また、その後あらわれた清酒酵母は、すべて6酵母の遺伝子を受け継いでいるので、6号酵母は清酒酵母の「母」ともいわれている。

 広島の酒類総合研究所で酒づくりを学び、2007年に蔵へ戻って来た東大出身の佐藤祐輔社長は、10年からこの6号酵母だけで酒づくりを始めた。

 6号酵母は今どきの香り酵母と違い、派手さはない。どちらかというと普通酒によく使われている酵母だ。しかし、元々は寒冷地で発見されたので、低温で長期醗酵させる吟醸造りに適していた。また、戦前の酵母なので、生もと(きもと)づくりや木桶など、現代では廃れてしまったつくりとも相性が良い。