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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】フランス財政支えた白い黄金 「サラン・レ・バン大製塩所とアル・ケ・スナン王立製塩所」 (1/2ページ)

 今年の夏は異常な暑さで、テレビでも熱中症予防のために水分補給の注意喚起がしばしばありましたが、熱中症が疑われるときは、ただ水分を補給するだけでなく、塩分も一緒に補給することが重要です。なぜなら、発汗により失われるのは水分だけでなく体内の塩分やミネラルも奪われているからです。

 つまり、人が生きていく上で塩は非常に重要なもので、古代ローマでも塩Saltはお金として扱われており、給料Salaryの語源にもなりました。そこで今回は私たちの生活に欠かせない塩がいかにして作られていたかを、フランスとスイスの国境近くにある世界遺産「サラン・レ・バンの大製塩所とアル・ケ・スナン王立製塩所」からご紹介します。

 今日のように冷蔵庫がない時代には、塩は食糧の保存にも必須の食品で、それに課税される塩税(ガベル)はフランス王国の主要な財源でもありました。そのため、サラン・レ・バン製塩所は高い壁に囲まれ、塩が盗まれないように設計されており、町もとりでにより守られていました。

 サラン・レ・バンの大製塩所はアモンの井戸と呼ばれる塩井に建設された製塩施設で、地下からくみ出した塩水を釜で煮詰めて煎熬(せんごう)塩を作っていました。