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【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】フランス財政支えた白い黄金 「サラン・レ・バン大製塩所とアル・ケ・スナン王立製塩所」 (2/2ページ)

 そして、その煎熬には大量の薪が必要で、周辺での薪の調達が困難となったため、約21キロ離れたショーの森に新たにアル・ケ・スナン王立製塩所が建設されました。

 このアル・ケ・スナン王立製塩所が世界遺産登録された理由は、ルイ16世の治世下で、啓蒙(けいもう)思想を取り入れ、監督者と労働者の効率的な生活が営める産業都市を具現しており、その後の産業建築の模範となったからです。

 フランス革命の影響で、設計者である建築家クロード・ニコラ・ルドゥーの当初の予定通りにはなりませんでしたが、製塩所や事務所、所長や従業員の住宅と庭園などが半放射状に配置された設計は見事で、当時の住居は今日、ホテルの宿泊施設として開放されています。

 また、サラン・レ・バンでは塩水を利用したリハビリ施設が人気を呼んでおり、現代においてもこの地の塩はフランス国家に利益をもたらしています。

 ■黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ) 慶應義塾大学経済学部卒。現在、クラブツーリズム(株)テーマ旅行部顧問として旅の文化カレッジ「世界遺産講座」を担当し、旅について熱く語る。