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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】完璧な米と酵母の力を前に泣きそうに… 信念で醸した「米と酵母の力」 (1/2ページ)

 ★佐賀県東一(下) 

 佐賀県嬉野市にある五町田(ごちょうだ)酒造は、佐賀で初めて山田錦の栽培に挑戦して30年。今ではほぼ全量地元の山田錦で酒づくりをしている。醸す酒は銘酒「東一(あずまいち)」だ。

 山田錦は酒米の王様で、良い酒はできるが育てるのが難しく、産地の兵庫県以外では良い米ができないとされていた。しかし、「品質の良い米から品質の良い酒ができる。だからまず自分たちで最高の山田錦をつくろう」という、瀬頭一平社長の信念はゆるがなかった。

 1988年に手探りで始めた米作りだったが、90年にひとつの成果が出る。それまで受賞とは縁のなかった全国新酒鑑評会で、堂々の金賞が取れたのだ。当時はYK35の全盛期。Yは山田錦、Kは9号(熊本)酵母、35は精米歩合35%の意味で、これが金賞を取る究極の組み合わせだといわれていた。東一はそれから4年連続で金賞に輝いた。東京の有力酒販店から次々と引き合いが来始めたのもこの頃だ。