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【BOOK】生物学者・福岡伸一氏、“最大の謎”生命の出発点を数学的表現で理論化したい (1/2ページ)

 ★「ツチハンミョウのギャンブル」(文藝春秋・1700円+税) 

 生命とは何かを「変わらないために変わり続ける」動的平衡論から問い直す生物学者であり、画家フェルメール研究の第一人者でもある。新作は週刊誌に連載中の人気コラムをまとめた単行本の第5弾だ。(文・たからしげる) 

 --新刊を手にされた感想は

 「週刊文春というスキャンダラスな雑誌のコラム執筆陣の末席に加えていただき、生物学者が何を書けばいいかと最初は戸惑ったのですが、もう500回を数えました。理系と文系の垣根を往復するような内容で旬のネタを混ぜつつ、自分の体験を通してアウトプットしないといけないので、それなりに話芸が必要なわけですね。粛々と続けてきて、単行本にまとめていただいたのは2010年4月に刊行した第1弾から数えて今回は5冊目。これだけみなさんに読んでいただけるのは、とてもうれしく思っています」

 --なぜ生物学者に

 「ネットも携帯電話もなかったころに少年時代を過ごしました。物心つくかつかないかくらいのときから好きなものといえば、虫でした。蝶の色とフォルム(形)も含めて自然が明かしてくれるメッセージに“反応”して好きになったのですが、そのまま職業になればいいなと思い、生物学者を目指しました」

 --生命の動的平衡とは

 「20世紀の科学は、DNAの二重らせん構造をもとに、生命は自己複製するシステム、と定義しました。しかし、生命が生命たりえているのは単に自己複製するからだけではない。石ころは命ではないけれど、虫やミミズやカエルが命なのは、生命特有の柔軟性や可変性があるからです。それが何なのか、少年時代からずっと考えてきて到達したのが、“動的平衡”というコンセプトでした。身体を構成している細胞も分子も、実は絶えまなく自らを壊しながら作り替えている。そんなバランスの上に成り立っているのが生命であるという考え方です」

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