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【膝関節再生治療を追う!】PRP療法とAPS療法はどこまで期待できるのか 膝以外にも適用のPRP療法 (1/2ページ)

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 「再生医療とは、キズや組織を再生しようとする力を強くする治療。人間が持っている自然に治そうとする力、再生力を利用する治療です」

 こう語るのは埼玉協同病院(川口市)整形外科副部長の桑沢綾乃医師。

 国内でも膝・股関節において有数の人工膝関節置換術の症例数を持つ一方、膝・股関節の再生医療にも積極的に取り組む整形外科医だ。続けて解説してもらう。

 「再生医療というと、多くの人はiPS細胞やES細胞を思い浮かべると思います。これらは幹細胞と言って、細胞の中でも赤ちゃんのようなもの。これから骨にも、筋肉にも、血管にもなれるおおもとの細胞です。この細胞に遺伝子操作をし、『骨になれ』とか『血管になれ』といった刺激を加え、計画通りの組織に分化させ、移植する治療です」

 この仕組みを変形性膝関節症に置き換えると、あたかも擦り減ってしまった膝の軟骨が若い頃のように元通りになる-と考えてしまいがちだが、桑沢医師はそこに警鐘を鳴らす。

 「現在の膝の再生医療は、そこまでを目指すレベルではありません。軟骨は最も再生(分化)の難しい組織。そもそも、幹細胞に与える“刺激”を一つ間違えると、がん化してしまう危険性もある。再生医療は非常に繊細な治療だということを意識する必要があります」

 ならば、現在行われている変形性膝関節症に対する再生医療とはどのようなものなのか。

 前回小欄では、現在行われている変形膝関節症の再生医療には、自身の血液から採取した血小板に含まれる抗炎症サイトカイン・修復成長因子を関節に注射する「PRP療法」、PRPをさらに生成して純度を高めて膝に注射する「APS療法」を書いた。

 「PRPとAPS療法は“体細胞”を使う治療で、すでに分化した細胞の中から組織修復に優れた細胞・因子を集めて濃縮して使用します。一部メディアが、あたかも軟骨が再生するかのように、治療効果を報じたこともあり、過大な期待を持って受診する患者がいますが、そこまでの効果は期待できません」(桑沢医師)