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【鎮目博道の顔ハメひとり旅】年中、阿波踊り アホになりきって祭を楽しむ

 あ、千手観音! と思われたかもしれませんが、阿波踊りです。なぜ今の季節に阿波踊りなの? と言われそうですが、実はここに徳島ぐるみの壮大な“陰謀”が隠されているのです。あ、陰謀といっても、総踊りを強行するとか、運営巡って対立とか、キナ臭い陰謀ではないのでご安心を(笑)。

 この顔パネ(顔ハメパネル)、私がこれまでに見た中で最も立派なものの1つです。大きくて、綺麗な写真を使ったインパクトあるパネル。しかしながら…あなたはこの顔パネに何か違和感を覚えませんか?

 そう、千手観音像に見えてしまった理由もコレなのですが、人口密度が半端ないんです。おしくら饅頭してる…あるいは腰をロープで縛られているのでは、と思いたくなるほど踊り手が密集。この密度で踊ったら乱闘騒ぎに発展しそうです。

 さらにこのパネル、立派なのは良いですが立派すぎです。全体を写真に撮ると、顔ハメしている人が小さくなりすぎて表情が分かりづらい…要はこの顔パネ、若干「やりすぎ」です。そしてその理由は先ほど述べた徳島の陰謀、「年がら年中阿波踊り化計画」にあるのです。

 徳島市内を歩くと、商店街、橋の欄干、郵便ポストの上まで阿波踊りの像。この街のアイデンティティーがいかに阿波踊りオンリーかよくわかります。

 そして、「千手観音パネル」がある「阿波おどり会館」。なんと一年中、本物の阿波踊りが見られて、踊り方の講習や体験までできてしまう恐怖の洗脳施設です。そう、阿波踊りの季節は夏一度しかない…でも一年中を阿波踊りのまま生きていたい…そんな徳島人の「踊るアホウスピリッツ」がこの「やりすぎ看板」を生み出してしまったのです。

 ここまではっきりすれば我々「顔ハメびと」がすべき表情はわかりますね? そう、「祭」です。アホになりきって祭を楽しむのです。所詮人生は泡のように儚い祭…アホになって酒飲んで年がら年中楽しくエラヤッチャ総踊りです! 徳島で顔ハメ道の真理を発見し、気分良く酒が進んだ1日でした。

 ■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。顔パネ未来研究所長。公共コミュニケーション学会会員。顔ハメパネルに変顔をしてハマり「一体化」する魅力に取り憑かれ、「顔ハメパネルは演劇だ!」とばかり各地を徘徊し飲んだくれる。今年5月、「第1回顔ハメパネルシンポジウム」を開催。これまでにハメたパネルの数は400枚を超える。