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【マンガ探偵局がゆく】「少年ジャンプ」初期の本格SF人気作 ラストシーンも衝撃的だった「ワースト」 (1/2ページ)

★ミッション(57)人類にとっての特定外来生物とは?

 今回は古いマンガに関する調査だ。

 「特定外来生物のことが問題になっていますね。わが家の近所でも閉鎖した遊園地から逃げ出したシカの仲間〈キョン〉が殖えて大変なことになっています。そういえば子供のころに兄が買っていた『少年ジャンプ』に、怪物が大繁殖して人間の世界を乗っ取ってしまうという怖いマンガが載ってたのを思い出しました。たぶん手塚治虫さんだったのでは? 探してください」(主婦・55歳)

 依頼人が読んだというのは、1970年から『週刊少年ジャンプ』に連載されていた小室孝太郎のSF長編マンガ『ワースト』のことだろう。作者の小室孝太郎は、手塚治虫のアシスタントとして経験を積んでから独立したので、絵柄は似ている。

 人間を怪物にする未知のウイルスが雨の中に混じっていたために誕生したワーストマン。彼らは空を飛び、海に潜り、あらゆる生物を食料として地球を支配するようになる。生き残った人類は、ワーストマンを倒すために必死の抵抗を試みるが、ワーストマンは不死身の生命力を持ち、環境の変化にも適応しながら爆発的に繁殖していく。

 まさに人間にとっての特定外来種のような存在だ。無表情で神出鬼没のワーストマンの姿がトラウマになった小学生も多かった。

 数十年続いた人類とワーストマンの戦いは、氷河期の到来でピリオドを打たれるが、氷河期が終わった時に彼方から人影が現れ、それが人類なのかワーストマンなのか、というラストシーンは、当時の少年マンガとしてはとても衝撃的だった。