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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】「剣菱酒造」江戸時代から伝わる3つの家訓 (1/2ページ)

 「剣菱」は江戸時代から、酒の番付表ではトップの“大関”に君臨し、赤穂浪士の吉良邸討ち入りの際には、武運を祈ってその鏡割をしたといわれる銘酒だ。

 しかし業界では取材拒否の蔵として知られ、長らくそのつくりは謎に包まれていた。それが昨年代替わりし、剣菱酒造(神戸市)では白樫政孝社長になってから、徐々に情報公開をするようになってきた。

 私が蔵を訪ねたのは、新米が収穫された直後で、杜氏集団が蔵入りする前日だった。本社蔵を含めて蔵は4つあり、季節雇用が90人、社員が10人。なんと製造部隊は100人の大所帯なのである。ということは、蔵元は、100人分の宿舎と毎日の食事を用意しなくてはならない。

 「うちは給料は安いけど、ご飯がおいしいということで有名なんです。蔵人は主に日本海の方から来るので、タラ、ブリ、カニなど地元の食材を持参し、まかない担当の女性も同行します。やはり食べ慣れた食事が一番ですからね。もちろん酒は飲み放題。やかんに入れて直火で燗をつけ、湯飲みで飲みます。うちの酒は山吹色をしているので、初めて飲む新人は、お茶と間違えるのが恒例ですが。ひと冬で一升瓶3000本が空になりますよ」

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