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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】剣菱 木製道具で守る「江戸の味と技」 (1/2ページ)

★兵庫県・剣菱(下) 

 剣菱は江戸時代から500年以上続く、灘のトップブランドだ。取材拒否の蔵としても有名で、長らくそのつくりは謎に包まれていた。だが剣菱酒造(神戸市東灘区)では昨年、白樫政孝社長に代替わりして、徐々に情報公開をするようになってきた。

 代々続く家訓のひとつに、「流行に左右されて味を変えず、ひたすら美味しい酒を造り続けろ」がある。そのため、今でも江戸時代のつくりと味にこだわっている。

 水はもちろん灘の宮水。米は全量自家精米。すべて地元産で、山田錦と愛山が中心だ。ちなみに愛山は、近年「十四代」に使われて有名になった米だが、もともとは剣菱専用の米だった。それが阪神淡路大震災のどさくさに紛れて、県外に流出したのだそうだ。

 酵母は蔵つきの泡あり酵母。酒母の95%は、自然に乳酸菌を発生させる山廃だ。そしてアル添は、江戸時代から続く柱焼酎で、米アルコールを使っている。江戸で灘酒が売れたのは、伊丹発祥の柱焼酎を取り入れたからだともいわれるほど、貴重な技術だ。

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