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【BOOK】「若い男性に泣いてほしい」 人間ドラマたっぷりのミステリーに奇想天外な密室トリック 島田荘司さん『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』 (1/2ページ)

★島田荘司さん ベストセラーシリーズ最新刊『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』(新潮社・1600円+税)

 ミステリー界の巨匠による、累計600万部超(海外を含む)のベストセラーシリーズ最新刊。古都の伝統的な因習、奇想天外なトリック、そして、人間ドラマもたっぷりの“泣けるミステリー”だ。(文・梓勇生 写真・荻窪佳)

 --舞台は、古都・京都。鳥居の両端が建物に突き刺さっている、錦天満宮の“突き抜け鳥居”が重要なファクターになっている

 「京都が好きでね。数年前から、小さなマンションの仕事場を持つようになり、(故郷の広島県)福山からの帰りなどに、よく寄っていたんです。錦天満宮の“突き抜け鳥居”は、仕事場から、ちょうど歩いていける場所にある。散歩しながら、ヘンな鳥居があるな、面白いなぁ、て思っていたんですよ。(突き刺さっている建物の片方は)以前は店舗として使われていたので、中からも、その奇妙な様子が見られたんです」

 --京都に跋扈(ばっこ)する魑魅魍魎(ちみもうりょう)から街を守っている「猿ライン」も面白い

 「街の東北は『鬼門』にあたり、そこから魔物が入ってくるのを防いでいるのが『猿ライン』。つまり、鬼門封じですね。江戸(東京)ならば、上野の寛永寺や神田明神がそれに当たります。猿が守っているというのは、京都独特のことかもしれません。私も、ぼんやりとは知っていましたが、(本作を書くために)、魔界都市・京都に関する資料を集めて調べ直しました」

 --その伝統的な事象に絡む密室のトリックが奇想天外

 「最初に出版社側から与えられた条件が、クレセント錠(アルミサッシの窓などの室内側にある三日月=クレセント=型の回転式締め金具)で閉められた密室でした。実は以前、検討したことがあったのですが、クレセント錠を破るのは、なかなかハードルが高い。だから、いったんは断った。すると、電話を切った後に、あるアイデアが浮かんだんです。“創作の女神”はいじわるですね。結局、もう一晩考えて『やっぱり、これはできるな』って」

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