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寝正月は「胃食道逆流症」に気をつけて! ゴロゴロしながらの暴飲暴食は苦しい胃カメラまっしぐら

 自宅でゴロゴロして、昼間からビールを飲みながら駅伝を見て、夜は日本酒をグビリ。そんな正月休みのツケがやって来るのが、仕事始めの日。「胸やけ」で苦しみたくなければ、飲む前に少し意識してほしいことがある。

 胸やけという症状の原因は、「胃食道逆流症(逆流性食道炎)」という病態。胃で分泌される胃液が食道まで逆流して、その成分である胃酸とペプシンという物質が炎症を引き起こす。

 胃は胃酸に負けない構造になっているが、本来胃酸が到達することを想定していない食道には、そうした補強工事はされていない。押し寄せる胃酸の波に抗うすべもなく、炎症を起こすことになるのだ。

 「年末年始は特に要注意です」

 そう語るのは、千葉県野田市にあるキッコーマン総合病院院長で消化器外科が専門の久保田芳郎医師。

 「正月休みは何かと食べる、飲むの回数が増えます。過食も、アルコールも、胃酸の分泌を促進させるので、正月休みはリスクが高いのです」

 ちなみに、リスク因子の中には「カフェイン」や「熱いもの」もあるので、コーヒーの飲み過ぎや鍋物も注意が必要だ。

 リスク要因はまだある。「ゴロゴロする」という生活態度。といっても、その心がけが問題なのではなく、物理的に「横になる」ことが問題なのだ。食べたり飲んだりしたあとで横になると、胃液が食道に逆流しやすくなる。食べた後はしばらく、上半身だけでも起こしておくと、食道の負担は軽減される。

 胃食道逆流症の症状には、冒頭で触れた胸やけ以外にも、げっぷ、胸痛、つかえ感などがある。

 消化器科医なら症状と生活習慣(特に年末年始の)から大体の想像はつくというが、診断を確定するには内視鏡、つまり胃カメラによる検査が必要になる。

 胃カメラを飲むことが好きだという人はいないと思うが、飲み過ぎ、食べ過ぎ、ゴロゴロ生活-に溺れすぎると、行きつく先は胃カメラが待っている、ということは覚悟しておこう。脅すわけではないが、胃食道逆流症により、食道がんや誤嚥性肺炎のリスクも高まる。「胸やけくらい…」と甘く見ていると、えらい目に遭う。

 胃食道逆流症になると、どんな治療が待っているのか。

 「当然のことながら暴飲暴食を改めていただきます。その上で腹圧を高めるような運動を控え、女性ならコルセットやガードルのように腹部を強く締めるものの着用は避けてもらいます。そうした日常の生活指導でも改善が見られないときは、薬物療法となります」

 使われる薬には、プロトンポンプ阻害剤(「タケプロン」「オメプラール」「パリエット」「ネキシウム」など)、H2受容体拮抗薬(「タガメット」「ガスター」「ザンタック」「アルタット」など)胃酸の分泌を抑制する作用のある薬を服用する。

 「なってから治す」のではなく「ならないようにする」ことが何より重要。まずは、いったん姿勢よく座り直してみませんか。(長田昭二)

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