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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》新春にぜひ…コース料理にお茶をペアリング (1/2ページ)

 お正月にお酒を飲み過ぎてしまった人、今年は健康のためにお酒を控えようと思っている人。もちろん、もともとアルコールが苦手な人にもこの春、お勧めなのが、ワインのように、コース料理の一皿ごとに最適の日本茶をペアリングする「ティーペアリング」だ。5年ほど前から少しずつ広まり、昨年、「日本ティーペアリング協会」が設立された。

 私が「ティーペアリング」を初めて体験したのは約3年前、京都・祇園のフランス料理店「MAVO(マヴォ)」での取材だった。フランス料理と日本茶のペアリングを研究し続けるオーナーシェフの西村勉さん(47)は、一皿ごとに最適なお茶をワイングラスなどで提供している。ただのお茶ではない。ハーブやスパイス、ドライフルーツなどから抽出され、肉料理には赤ワインのようなものが出される。お茶といっていいのか、不思議なノンアルコールの飲み物なのだ。

 といっても、お茶からかけ離れたものではない。西村さんがティーペアリングを生み出したきっかけは、玉露を初めて飲んだときの味わいの深さへの驚きだったという。「温かくても冷たくても味わいがある。渋みやうまみ、コク、苦み…。お茶は世界中にあるが、ここまで味わいのあるお茶は珍しい。日本のお茶に含まれるうまみ成分の研究を始めました」

 全国の茶葉を試し、香りや味、食感をインプットしてきた西村さんが信頼を寄せるのが、「製茶 辻喜」(京都府宇治市)代表の辻喜代治さん(49)だ。伝統的な茶農家の五代目として2年から約30年間、抹茶の原料となるてん茶を栽培。毎年、生産した茶葉のアミノ酸スコアを分析し、その結果を翌年の栽培に生かしてきた。

 辻さんへの取材も興味深かった。お茶の木に年間を通じて極限近くまで肥料を与えた上で、新芽にその栄養分を凝縮させる。新芽に含まれるうまみ成分「テアニン」は光に当たると渋み成分の「カテキン」に変わってしまうため、新芽が出る時期には覆いを掛けて徹底的に遮光。5月の収穫に向け、毎日お茶の木と“対話”し、肥料や水分を調整していく。

 辻さんの畑を視察したフランス人から、最高の土壌の畑から卓越した技術で作られる最高級ワインになぞらえて「日本のロマネ・コンティだ」と評されたこともあるという。お茶の栽培は、確かにワインの原料となるブドウの栽培に通じるものがある。ワインの代わりにお茶をペアリングするのは、必然なのかもしれない。

 中には紅茶や中国茶をペアリングする店もあるが、西村さんがこだわるのは、辻さんら卓越した茶農家が作る抹茶や煎茶(せんちゃ)、玉露、番茶といった日本のお茶。「ティーペアリングが広がれば、日本のお茶の良さが海外からも注目されるきっかけになる」と意気込む。