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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】渾身の「新ブランド」に吹いた神風  宮城県「日高見」、地元紙やテレビ番組が後押し (1/2ページ)

★宮城県日高見(上)

 宮城県の石巻は、仙台から仙石線で1時間あまり。ここにキラリと光る洗練された銘酒がある。日高見(ひたかみ)だ。蔵元は、酒業界一のイケメンとして、テレビや雑誌でたびたび紹介されている平井孝浩さん(平孝酒造社長)。江戸前寿司を食べ歩き、寿司のための酒をつくってしまったほどの通で、「寿司王子」の異名を取る。

 日高見は平井社長が28年前に立ち上げた新ブランドで、もとは新関という酒を売っていた。平井社長は東京で就職し、家業を継ぐ気はなかったのだが、24歳の頃、父から「もう廃業する」と言われて一念発起。「俺がこの会社を立て直してやる!」と、意気揚々と故郷へ戻ってきた。

 しかし当時の酒業界は割り引きと値引きのサービス合戦。売れない酒をトラックに満載してぐるぐる町内を回り、売れるまで帰れないという情けない日々が続いた。会社は立て直すどころかどんどん傾いていき、明日をも知れない状態へと追い込まれていく。

 帰郷して3年ほどたった頃、「こんなことをやっていたらダメだ。新関はしがらみがあるから、違うブランドを立ち上げなければ」と思うようになる。ちょうどその頃、国で級別廃止が決まったので、「新ブランドでこの流れに乗っかろう」と考え、日高見ブランドでひとつずつ丁寧に特定名称酒を造っていった。