【黒田尚嗣 世界遺産旅行講座】兼高かおるさんも愛した「永遠の都」 “都市の中の都市”ローマの歴史地区 (1/2ページ) 黒田尚嗣 世界遺産旅行講座
今日の海外旅行ブームの火付け役となった「兼高かおる世界の旅」で知られる兼高かおるさんが、さる1月5日に心不全で亡くなられました。
海外渡航がまだ自由化されていない時代(放送開始当初)から、世界各地の魅力を洗練された美しい日本語で紹介されてこられました。兼高さんの「外国を知って日本も知る、日本を知って外国を知る、そういう両方を知っていくのが国際化なんです」という言葉に魅かれ、今日の私があるのも「兼高かおる世界の旅」のおかげです。
そこで今回は追悼の意味を込めて、この番組の記念すべき第1回に兼高さんが案内された「永遠の都」ローマの歴史地区についてご紹介します。
世界遺産に登録された建造物の大半は、古代ローマ帝国最盛期のBC1世紀からAD3世紀に建てられた公共施設の遺構ですが、重要なものはBC1世紀にカエサルが着手したローマ市民の広場としてフォロ・ロマーノ、カエサルをたたえる「ユリウス神殿」や「元老院」、裁判などを行った「バシリカ」です。
今でもローマの街を歩くと、建物の壁やマンホールの蓋など至る所に「S・P・Q・R」という文字を目にしますが、これはSenatus PopulusQue Romanus(セナトゥス・ポピュルスクェ・ロマーヌス)の略称で「ローマの元老院と国民」の意味です。
これは古代ローマにおける国の主権者を意味しており、「Senatus(元老院)が主導しつつもPopulusQue(国民)とは基本的に平等である」とするローマ帝国の理念です。