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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「春」》物入りの「春」

 現在の景気拡大期間が74カ月に達し、「いざなみ景気」(平成14年2月~20年2月、73カ月)を超えて戦後最長になったとみられる-といわれても、実感に乏しい、というのが正直なところです。

 とりわけ春は何かと物入りで、庶民の家計は冬より厳しい季節を迎えると言っていいでしょう。

 たとえば卒業式と入学式に着ていくフォーマルウエア。たった2度(!)着るだけのために、一式そろえる負担感といったらありません。

 賢い私の友人は、今年のセールでそれっぽく使えるセットアップを手に入れて、娘の来年の卒業式(と、受かれば大学の入学式)にばっちり備えた、といいます。フリマアプリ「メルカリ」では、1~3月に、女性用フォーマルスーツの出品数が増えるそうです。試しに「スーツ レディース」で検索すると、おびただしい点数のフォーマルスーツが、新品の数分の一程度の価格で出品されています。大人用だけではありません。ヤフーが29日に発表したネットオークションサイト「ヤフオク!」の、2月に落札需要が高まるもののランキングでは、「男の子のフォーマルウエア」が、「ひな人形」に続く2位にランクインしていました。

 卒業・入学式のためのフォーマルウエアは、使用頻度が低いのに、買うと高い。そんなものにお金をあまりかけたくない、というのが今の庶民の正直な感覚ではないでしょうか。

 その代わり、「毎日使う」ものには出費を惜しまないようです。昨年3月、サンケイリビング新聞社が新小学1年生を持つ親311人に行った調査では、ランドセル購入価格の平均は5万2508円で、3年前に比べ4702円も高価格化していました。

 民俗学者・柳田國男が見いだした日本人の伝統的な世界観によれば、私たちの暮らしは、年に数度の特別な「ハレ」の日と、大半を占める「ケ」の日常とにわかれます。一概には言えないでしょうが、春の進学シーズンにまつわる消費をぼんやり眺めると、たまの「ハレ」より「ケ」の毎日を大切にしたいとの、時代の空気を感じます。そして、私の懐にはいつ春の気配がやってくるのかと、遠い目になるのでした。  (A)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。1月のお題は「春」です。