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【中原英臣 あの医療情報ウソ?ホント!】臨床試験で半数のがんが消滅 世界が注目する「光免疫療法」

 昨年のノーベル医学・生理学賞は京都大学の本庶佑特別教授が、がんの免疫療法の開発によって授賞しました。ところが、米国立がん研究所の小林久隆主任研究員が開発した「光免疫療法」が世界的に注目されています。

 光免疫療法が脚光を浴びるきっかけとなったのは、2012年にアメリカのオバマ前大統領が行った一般教書演説でした。オバマ前大統領は正常な細胞に影響を当てないでがん細胞だけを殺すことができる画期的な治療法として、光免疫療法をアメリカの偉大な研究として紹介しています。

 光免疫療法の原理は次のようになっています。

 マウスの抗体の中にはがん細胞だけと結合するものがあります。そうした抗体に近赤外光線に反応する物質を結合したうえで体内に注入。抗体ががん細胞に結合したタイミングを計って光を当てると、化学反応によって発生する熱でがん細胞を破壊するというわけです。

 アメリカでは、すでに15年から、再発した頭頸部のがんの患者さんを対象に臨床試験が進められています。アメリカでの臨床試験の結果をみると、15人の患者さんのうち7人はがんが消滅しました。

 11年に『ネイチャー・メディシン』に発表された研究によると、がんになったマウスの80%が完治しています。オバマ前大統領は、この研究結果を受けて一般教書演説を行ったのです。

 ちなみに、日本でも18年3月から国立がん研究センター東病院で、アメリカと同じように再発した頭頸部のがんの患者さんを対象に臨床試験がスタートしています。

 小林氏によると、頭頸部のがんの次は肺がん、前立腺がん、乳がん、膵臓(すいぞう)がんなどを対象とした光免疫療法を計画しています。光免疫療法によるがんの治療とともに、ノーベル医学・生理学賞の受賞にも期待したいものです。(山野医療専門学校副校長・中原英臣)