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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】「うだつの上がる」まろやかさ… 岐阜県「百春」 (1/2ページ)

★岐阜県「百春」(上)

 今、岐阜県発行の「呑んべぇパスポート」を持って、県内の29蔵を訪ねると、秘蔵酒の試飲やお猪口(ちょこ)のプレゼントなどの特典が受けられる。私もこれを携えて、岐阜の蔵巡りをしてきた。今回は美濃市の小坂酒造場。醸す酒は「百春(ひゃくしゅん)」だ。

 長良川鉄道の美濃市駅を降りてしばらく歩くと、伝統的な町並みが保存されている地区がある。通称「うだつの上がる町並み」だ。

 うだつとは、本来防火の目的で、隣家との境の屋根に張り出した部分。これが江戸時代になると装飾的な意味合いが強くなり、やがては立派なうだつが財力をあらわすようになった。「うだつが上がらない」という言葉は、ここから生まれたのだ。

 美濃市の町並み保存地区では、このうだつをたくさん見ることができる。小坂酒造場も例外ではなく、蔵は国指定の重要文化財になっている。

 小坂家12代目当主の小坂善紀さんは、大学で経営を学んだあと、イギリスの大学院に3年間留学し、愛知県の工業技術センターで酒づくりを学んでから蔵へ戻って来た。うだつの上がったひとかどの人物のはずだが、前へ出たがるタイプではないようで、「恥ずかしいからそんなこと書かないで、ヤメテよ~」と言う。

 岐阜には東の木曽川、真ん中の長良川、西の揖斐川と、大きな川が3本あり、下流で合流して伊勢湾へそそいでいる。百春の仕込み水は、長良川の伏流水だ。

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