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【BOOK】「芥川賞受賞会見はスパーリングを大勢の前でやるような緊張感」 町屋良平さん『1R1分34秒』 (1/3ページ)

★町屋良平さん『1R(ラウンド)1分34秒』新潮社(1200円+税)

 3年前の作家デビュー作が三島賞候補となり注目された新人作家。前作で初めて芥川賞候補、そして2度目の候補作の本作品が受賞。自らも体験したボクシングの世界で生きる若者をみずみずしい文体で描いた。(文・竹縄昌 写真・佐藤徳昭)

 --芥川賞受賞。これまでどんな日々でしたか

 「混乱が収まるかと思ったのですが、日に日に逆に混乱が増してきて、混乱に慣れてきたという感じです。生活も少しペースが乱れてます」

 --昨年暮れに候補作となったことが分かりましたが、気持ちの上では

 「年末進行(=出版界特有の過密スケジュール)の忙しさもあったので、一瞬ナーバスになりましたが、年末年始でいい感じにリラックスできてました。でも、選考会の前日ぐらいからはまたナーバスになってしまいました」

 --受賞決定の記者会見はリングに上がるのとは違いましたか

 「自分は後楽園のリングに上がるようなプロではなかったのですが、スパーリングを大勢の前でやったときと同じような緊張感がありましたね。開き直ってなんとか」

 --デビュー作『青が破れる』もボクシングでしたが、2作目『しき』はダンサー。いずれも肉体とかかわるテーマです

 「『青が破れる』と『しき』で書き残していたことや、もう少し書けたかもしれないということを考えていかないと、今作は出てこなかった可能性はあります」

 --というと

 「『青が破れる』ではボクシング(の言葉)でしか書けない文章はほんの少ししか書いていないんです。(他の言葉などの)何かに“変換”できるボクシングの描写になっていたんですけど、受賞作は、変換不可能、ボクシングでしかありえない文章の可能性を考えました。『青が破れる』で描写に普遍性を持たせることは意図的にやっていたので、『1R…』ではそうじゃないかたちで書きたかったんです」

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