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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】世界が称賛「華やかな香り」 岐阜県『百春』 (1/2ページ)

★岐阜県「百春」(下)

 岐阜県美濃市の町並み保存地区には、屋根に「うだつ」の上がった旧家が立ち並ぶ。かつて財力の象徴だったうだつ。清酒「百春(ひゃくしゅん)」を醸す小坂酒造場にも立派なうだつが上がっており、建物は国指定の重要文化財だ。

 小坂家12代目当主の小坂善紀さんは、杜氏の波多野博さんと、力を合わせて酒づくりをしている。波多野杜氏は、36歳という若手ながら、全国新酒鑑評会での金賞受賞はもちろん、IWCでシルバーとブロンズ、Kura Masterでゴールドなど、海外での受賞歴も多数ある。

 とくに海外で高く評価されているのが、6年前からリリースしている百春の無濾過生原酒シリーズ。ちょうど酒づくりが始まったばかりで、商品がない時期だったが、かろうじて冷蔵庫に保管してあったサンプルを飲ませてもらった。

 フラッグシップは特別純米酒。甘く華やかな香りで、味わいも旨みが濃い。しかし重たい甘さではなく、きれいで透明感があるのは、ひとえに杜氏の腕の良さ。これだけで飲める、つまみのいらない酒だが、小坂社長は、ブルーチーズに最も合う日本酒だと言う。

 百春の仕込み水は、長良川の伏流水だ。甘くまったりとしているので、酒も甘口になる。かつてはもっと辛口にしようと努力したこともあったが、今は水質に逆らわず、かえって蔵の個性として、この水を生かそうと考えるようになった。

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