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【ドクター和のニッポン臨終図巻】大好きな夫に抱かれながら本当に「蝶」に… 歌手・森山加代子さん (1/2ページ)

★歌手・森山加代子さん

 「あなたに抱かれてわたしは蝶になる~」。不思議なリズムの蠱惑的(こわくてき=人を惹きつけ、惑わす)なこの歌を聴いた時、私はまだ小学生だったと記憶しています。

 女の人は抱かれるとチョウになっちゃうの!? 想像力のなかった少年は、その妖しい歌詞の意味を親に聞く勇気もなく、この歌がテレビで流れるたび、かぶりつくように見ていました。

 そんな私のアイドル原体験である森山加代子さんが、3月6日に大腸がんのため亡くなりました。享年78。

 森山さんが食欲不振と体調不良を訴えて都内の病院に入院したのは今年の2月のこと。しかし、すでに大腸がんのステージ4で、手の施しようがなかったようです。ただ誤解しないでほしいのは、「ステージ4≒(ニアリーイコール=ほとんど等しい)助からない」というわけではありません。

 大腸がんのステージ4といえば、肝臓や肺、脳などの離れた臓器まで転移している状態ですが、治療で完治する人はいます。諦めるのがモッタイないのが大腸がんです。

 しかし、森山さんの病状はかなり厳しかったのでしょう。一部の報道によれば、ご本人にはがんと伝えず、腸閉塞(へいそく)と話していたようです。発見時にすでに治療の余地がない場合には、ご家族の希望に従い「がん」だと伝えないことは今でも時々あります。しかし、本人は薄々気づくことの方が多いのではないでしょうか。中島みゆきさんの『永遠の嘘をついてくれ』という名曲がありますが、あの心境に似ています。永遠の優しい嘘です。

 森山さんは亡くなる5分前に、マネジャーで夫であった正和さんに「お父さん、ありがとう。迷惑かけたね」と伝えたそうです。

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