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【ドクター和のニッポン臨終図巻】ロック歌手、映画俳優・内田裕也 胃ろうせず「最期まで口から食べること」にこだわった (2/2ページ)

 今思うのは、裕也さんの中に「希林は絶対に見送ってやる」という、今まで妻に迷惑をかけっぱなしだったからこその夫の意地、いえ、優しさがあったのではと感じました。希林さんの納骨時には、別居中の御自宅に顎の骨を持ち帰ったといいます。

 波乱と矛盾に満ちた夫婦の半生、と誰かが語っていましたが、男と女なんて死ぬまで波乱と矛盾に満ちているから面白いのです。希林さんも、面白がっていたでしょう。

 報道によれば、今年の1月中旬から裕也さんは発熱をし、誤嚥性肺炎の治療を在宅で行っていたようです。しかし2月20日に救急車で病院に搬送されます。

 ただしその後も、娘の也哉子さんの希望もあって、胃ろうなどの選択をせず、「最期まで口から食べること」にこだわりました。ハンバーグ、ステーキ、寿司…好きなものを少しずつ、ローテーションで食べさせたとか。亡くなる前日も大好物のオムライスを召し上がったそうです。素晴らしい。もしかしたら希林さんが生前、暗に指示していたのかもしれません。

 最期まで好きなものを食べ、好きなことを言う-究極のロックンロール人生ではないでしょうか。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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