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【生涯現役脳をめざせ!】「白内障」は安全な手術で視力が回復 放置すれば認知症が進行する恐れ

★(1)ゲスト大野京子・東京医科歯科大学教授(眼科)

 「外部刺激の8割は視覚を通じて入ってくる」と言われ五感の中でも認知機能に大きな役割を果たしている視覚。視覚を失うとQOL(生活の質)に甚大な影響がおよぶが、目の病気は進行が遅く自覚症状も出にくいところがやっかいだ。そこで、知っておきたい目の病気について専門医に聞く。

 朝田 代表的な目の病気である(1)白内障(2)加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)(3)緑内障についてお伺いしていきます。まず、40歳以上に多く80歳以上ではほとんどの人が何らかの形で発症しているとされる白内障からお願いします。

 大野 多くの高齢者を診察していて、「認知症かと思っていたら白内障だった」ということはよくあります。

 朝田 足元がおぼつかない、物をよく落とす、顔の見分けがつかないなど、認知症に典型的に見られる行動の原因が、脳ではなくて目にあったということですね。

 大野 白内障を放置して外部刺激が減ると認知症が進行するといわれています。白内障は手術(眼内レンズの設置)によって視力が元に戻る病気ですので、ぜひ早期に眼科を受診していただきたいですね。手術の前後で患者さんのQOLや認知機能に向上が見られたという、はっきりしたエビデンス(医学的根拠)もあります。

 また、今は白内障と老眼を同時に治療できる多焦点眼内レンズも普通に使われていますし、将来的には度数調節ができる眼内レンズも実用化されると思います。

 朝田 この分野の技術進化は目覚ましいものがありますね。

 大野 長い間、中途失明原因の上位だった糖尿病網膜症は治療や手術の技術が進み、失明のリスクがかなり減りました。AI(人工知能)による自動診断技術も進んでいて、すでにアメリカでは糖尿病網膜症などは、ほとんどをAIが診断しています。日本も近いうちにそうなってくると思います。(協力・東京医科歯科大学)

 ■大野京子(おおの・きょうこ) 1987年横浜市立大学医学部卒。東京医科歯科大学にて医学博士学位取得。97年東京医科歯科大学眼科講師、98年文部省在外研究員(Johns Hopkins大)などを経て2014年より現職。2016年に日本近視学会を立ち上げ近視疾患診療ガイドラインの作成や病的近視の研究、啓発活動などに取り組んでいる。