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芸能人に相次ぐパニック障害 自身も罹患した医師の言葉 (3/4ページ)

 その審査会のある日は、会場に向かうだけで嫌な予感がした。実際、頻脈発作が起き、冷や汗が出てきたこともある。予期不安や広場恐怖があったのだと思う。

 ◆隠さずに伝えれば大騒ぎにならない

 パニック障害の治療は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などを中心とした薬物療法や、認知行動療法などが行なわれる。ストレスや過労などがきっかけになることが多いので、生活を見直すことも重要だ。

 ぼくはまず、パニック障害であることを、病院の職員にも隠さずに伝えた。みんなに知っておいてもらえれば、仕事中に発作が起きても、大騒ぎにはならない。そして、抗不安薬の力も借りながら、生活を変えた。

 当時、ぼくは朝4時半に起きて、医学や病院経営の勉強をする習慣があった。パニック障害になってからは、勉強を止めて、好きな音楽を聴いたり、詩や白土三平の『忍者武芸帳』を読んだりして過ごすことにした。

 夜明けまで眠れず、いてもたってもいられなくなって、ベッドから這い出し、外で早歩きをしたり、ランニングをしたり。体を動かすと、少し楽になったような気がした。それを機に、日が昇ると外へ出て、ラジオ体操をしたり、スクワットやウォーキングをするようになった。身の置き所がないような不安感はいつの間にか消えていった。

 不安やストレスというと、心ばかりに注目しがちだ。もちろん心の持ち方も大事なのだが、下手をすると自分を責め、ますますうつに陥ってしまいかねない。

 体にいい刺激を与えることで、心も立ち直ってくるという経験は、ぼくにとって感動的だった。不安に縮こまった心をほぐすには、体をほぐしてやるといい。心と体はつながっているのだ。

 48歳でパニック障害になったことは、ぼくの人生にとって意味があることだった。ちょうど中年クライシスの真っただ中。医療費抑制政策のなかで、施設を新たに作り、人員も増やしながら、黒字経営にしようと綱渡りのようなことをしていた。このままだったら、過労死していたかもしれない。

NEWSポストセブン

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