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【zak女の雄叫び】《zak女の雄叫び お題は「平成」》手帳でつなぎ止めた毎日 (1/2ページ)

 花の春、花粉症も真っ盛りだ。毎晩、抗アレルギーの薬を飲む。しかし、よく飲み忘れ、昨日飲んだかどうか思い出せないことも多い。何をして過ごしたか、日々の記憶がすぐに洗い流されていく。

 薬に1錠ずつ日付を書き込んでおいたらどうだろう。そう思いついて、時間をつなぎ留める浮標(ブイ)みたいなものだと思った。

 会社に入って1、2年たち、仕事にも慣れてきたころ、単調に飛び去っていく毎日がこわくなって手帳を変えた。1年4分冊、1日1ページある手帳だ。その日の出来事を、仕事の空き時間や電車の中で書き込む。

 誰かと話したこと、読んだ本のタイトル、買った洋服の値段、夕食の献立など。メモ程度だが、たまに細かい字で仕事の迷いや失敗の反省、自己嫌悪の念を書き連ねていて、読み返すと当時の大事件が、そういえばこんなこともあったなとすっかり風化しているのに驚く。それでいて、文字からありありと自分の感情がよみがえり、涙ぐむような気分になる。

 部署を移るごとに記録への意欲は衰え、1日1ページから、見開きで1週間の手帳になった。さらには週1ページになり、それも真っ白なまま終わることが多く、今年ついに月間カレンダーだけの薄い手帳に変えた。仕事をさばくことに手いっぱいで、人生の輪郭を手放すまいという若い頃のきまじめさと熱意を失ってしまったようだ。