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【ドクター和のニッポン臨終図巻】俳優・萩原健一、希少がんを隠しながらも「がんで死ぬ役」演じ抜いた (2/2ページ)

 死因のGIST(消化管間質腫瘍)という病名を、今回初めて知った人も多いでしょう。年間10万人あたり罹患(りかん)率は1~2人、「希少がん」として扱われます。消化管にできる腫瘍といえば、胃がんや食道がん、大腸がんをイメージしますよね。それらは粘膜の表面(上皮)から発生しますが、GISTは消化管の壁の中(筋層)に発生します。進行とともに吐き気や腹痛、下血や吐血などの症状が出ますが、特有の症状はなく、早期発見しにくい病気です。

 ショーケンにGISTが見つかったのは、2011年。彼は公表をせぬまま仕事を続けました。8年も病気を隠しながら仕事ができたのは、おそらく分子標的薬治療をされていて、その効果があったのだと想像します。

 自らのがんを隠しながら、がんで死ぬ役を楽しみながら演じるなんて。思えば彼は、「ショーケン」という、強がりでやんちゃな男の役を演じ続けた一生だったのではないでしょうか。派手に生きた彼の遺言は、「(葬式等)派手なことをやるな」だったとか。最期までカッコよすぎです。

 ■長尾和宏(ながお・かずひろ) 医学博士。東京医大卒業後、大阪大第二内科入局。1995年、兵庫県尼崎市で長尾クリニックを開業。外来診療から在宅医療まで「人を診る」総合診療を目指す。近著「薬のやめどき」「痛くない死に方」はいずれもベストセラー。関西国際大学客員教授。

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