記事詳細

【マンガ探偵局がゆく】35歳の再就職を描く、コンタロウのサラリーマン・マンガ 「いっしょけんめいハジメくん」 (2/2ページ)

 その後、バブル真っ盛りの86年から90年には『ビジネスジャンプ』で続編『新いっしょけんめいハジメくん』が連載された。

 2002年版は、35歳になったハジメくんが主人公。先輩女子社員だったメグミと結婚して、保育園に通う娘のサトミと3人で団地暮らしのハジメくんだが、長引く不況で会社は倒産。妻のパートの収入で生活しながら再就職活動中。しかし、資格や特別のキャリアのない35歳の再就職は難しい。

 学生時代からの友人に紹介されてやっと面接した小さな不動産会社の社長はなかなかのクセ者。テストと称して、難しい案件を押し付けてきた。しかし、ハジメくんは持ち前のバイタリティーで前向きにチャレンジしていく。

 不動産営業の仕事を通して、廃業寸前の町工場の経営者や、ホームレスの人たちとふれあい、人間にはそれぞれに決して譲れない尊厳があることにハジメくんが気づいていく、という展開が泣かせる。

 単行本は2巻で完結。ネット古書店などでは比較的入手しやすい本だ。

 ■中野晴行(なかの・はるゆき) 1954年生まれ。フリーライター。京都精華大学マンガ学部客員教授。和歌山大卒業後、銀行勤務を経て編集プロダクションを設立。1993年に『手塚治虫と路地裏のマンガたち』(筑摩書房)で単行本デビュー。『謎のマンガ家・酒井七馬伝』(同)で日本漫画家協会特別賞を受賞。著書多数。

関連ニュース