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【雇用延長時代を生きる健康術】老化細胞が炎症性物質を分泌する「SASP現象」 加齢に伴う病気の原因に (1/2ページ)

 政府は先頃、「元気な働く高齢者」のために、がんや生活習慣病などの予防医療の財政支援を強化する方針を決めた。がんや生活習慣病は、遺伝的な側面もあるが、食生活の見直しや適度な運動によって予防が可能だ。偏った食生活などを続けていると、体内では老化細胞が蓄積され、それが加齢に伴う病気を後押しすることが分かってきている。

 「私たちの体の中に蓄積した老化細胞は、さまざまなタンパク質を分泌します。これらの炎症性物質を分泌する現象をSASP(サスプ)といいます。SASP因子が引き起こす炎症反応により、がんなどの加齢に伴う病気(別項参照)が起こりやすいのです」

 こう説明するのは、がん研究会がん研究所細胞老化プロジェクトリーダーの高橋暁子氏。細胞の老化と発がん、SASPのメカニズムを長年研究している。

 細胞の老化に、がんを抑制する働きがあることは前回紹介した。細胞の分裂周期を止める仕組みで、がんに変わる前の状態にとどめておく重要な働きをしている。ところが、ストレスなどで体内に異常に蓄積した老化細胞は、がん細胞を活性化させる炎症性タンパク質やエクソソームという膜小胞を分泌し、これらのSASP因子が加齢に伴う病気の原因になるのだ。高橋氏らの研究チームは、この細胞レベルのメカニズムを明らかにしてきた。

 「正常な細胞に過度なストレスが加わると細胞が老化して体内に蓄積してゆきます。ストレスによる遺伝子損傷が大きくなり、傷ついたDNAを取り除く仕組みが破綻した結果、SASPが起こり周囲に炎症を引き起こすのです」

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