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【BOOK】大スクープ記者にみた「小さな積み重ねがもたらすもの」 新聞や出版に厳しい今だからこそ書ける… 本城雅人さん「崩壊の森」 (1/3ページ)

★本城雅人さん 『崩壊の森』文芸春秋(1750円+税)

 1990年、世界中の度肝を抜く大スクープを産経新聞が放った。「ソ連、共産党独裁を放棄へ」。今作はこの特ダネをモチーフに国際報道の舞台裏を描いた作品だ。(文・梓勇生 写真・酒巻俊介)

 --この題材を選び、小説を書いた理由は

 「(スクープされた当時)スポーツ記者としてプロ野球の海外キャンプの取材でアメリカにいたのですが、『世界中の記者を相手に、こんなすごい大スクープを書くなんて』と驚いたし、憧れを感じました。それがずっと心の中に残っていて小説にしてみたい、って思ったのです」

 「ただ、記事を書いた元モスクワ特派員とは面識がありませんでした。人を介して打診してみたら、みんな『たぶん、話さないだろう。自分でも書いていない話だからね』と否定的です。それでも、ダメもとで当たってもらったら『会ってもいい。ただし、ネタ元や取材の具体的な話はできないけど』という返事。私は、フィクションを書くつもりだったので、『それで構わない。特派員としての生活や当時の雰囲気、思いを教えてください』と」

 --主人公の東洋新聞モスクワ特派員・土井垣は取材に制約がある共産圏で、コツコツと人脈を築き、街の声を拾う

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