記事詳細

【ぶらり、ぶんがく。本と歩く】リアル「路傍の石」はデカかった… 山本有三「路傍の石」 (1/2ページ)

★山本有三「路傍の石」東京都三鷹市 山本有三記念館

 JR三鷹駅で中央線を降りる。井の頭公園に向かって、玉川上水沿いの遊歩道をたどる。「風の散歩道」と呼ばれているらしい。緑の濃い水辺には、深呼吸をしたくなる雰囲気がある。しばらく歩くと、これまた緑に囲まれた2階建ての洋館が見えてくる。

 作家の山本有三(1887~1974年)が、昭和11年から約10年間暮らした旧宅で、現在は記念館として公開中。和洋の書斎があったりして、かなり個性的。のちに代表作となる「路傍の石」を執筆し始めたのも、この家だという。

 有三が道端で見つけて、気に入って持ち帰ったという石が門前に展示されている。まさにこれぞ「路傍の石」なのだが、これが!? と思うほどに大きい。一人で運ぶのは無理。車とか使って、けっこうな大騒ぎだったのではないか。

 〈自分自身を生かさなくってはいけない。たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、人間、生まれてきたかいがないじゃないか〉

 「路傍の石」は、極貧の家に生まれた吾一という少年が、苦労しながらも懸命に生きていく日々を描いた小説だ。

 吾一君、空腹や屈辱に耐えてこつこつとためていた小遣いを、プライドばっかり高くて働くのが嫌いな父親に遣われてしまう。学校に行けずに呉服屋に奉公に出される。母親が死んで東京に出ても、最底辺の暮らしは変わらず…。

関連ニュース