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【長生きは本当に幸せか? 医師・ジャーナリスト富家孝が問う】理想とされる「在宅死」の問題点 病院で死ぬのも在宅で死ぬのも地獄という状況に!? (2/2ページ)

 在宅医としてやってきたのは、皮膚科や美容外科が専門。医療用麻薬や飲み薬などを大量に持ってくるだけで、たいした診察もしなかったと言います。巨泉さんは医療用麻薬を大量に服用したため、呼吸不全を起こして緊急入院。3カ月間、集中治療室で治療を受けた末に亡くなったのです。

 「家で死にたい」と願ったのに、結局、病院で亡くなりました。

 医師紹介会社には「在宅医を紹介してほしい」という引き合いが殺到していますが、なり手はなかなかいません。なぜなら、在宅医として患者さんの看取りに責任を持つためには、24時間体制で勤務しなければならないからです。患者さん宅から「苦しんでいる」と連絡があれば、夜中でも駆けつけねばなりません。携帯は肌身離さずで、プライベートはありません。在宅患者さんの家族からの不満の第一は、「呼んでも先生が来てくれない」です。

 それでも、開業医のうち2、3割は在宅を引き受けています。しかし、終末期治療、緩和ケアの経験が乏しいので、巨泉さんのような例が頻繁に起きるのです。

 在宅治療には、十分な薬や医療機器が使えません。そのため、病院勤務医は、在宅を嫌がります。さらに、全国で訪問看護に従事している看護師は、全体のたった3%ほど。圧倒的に不足しています。

 病院で死ぬのも在宅で死ぬのも地獄という状況に、いまの日本はなっています。

 ■富家孝(ふけ・たかし) 医師、ジャーナリスト。1972年東京慈恵会医科大学卒業。病院経営の後、「ラ・クイリマ」代表取締役。早稲田大学講師、日本女子体育大学助教授などを歴任、新日本プロレスリングドクター、医療コンサルタントを務める。『不要なクスリ 無用な手術 医療費の8割は無駄である』(講談社現代新書)、『ブラック病院』(イースト・プレス)など著書計67冊。

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