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【長生きは本当に幸せか? 医師・ジャーナリスト富家孝が問う】半分以上の人が長生きを望んでいない!? 「早く逝かせてくれんかなあ…」 (1/3ページ)

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 年寄りが集まって健康、長生きの話しかしなくなったら、それはもう終わりと思ったほうがいいでしょう。長生きが目的になってしまった場合、もはやそれは人生ではありません。人は、単に長生きをするために生まれてきたのではないと、私は思います。

 いま、長生きを礼賛しているのはメディアとテレビのコメンテーターたちだけです。いまのメディアは、人間誰もが長生きを望んでいるという「架空の前提」に立っています。

 長生き礼賛は、私たち日本の文化、伝統ではありません。『楢山節考(ならやまぶしこう)』を読めば、死期を悟った老婆は自ら「楢山まいり」の日を早めることを望み、息子はそれに従います。この小説は日本各地にある「姥捨伝説」に基づいたものですから、日本人は昔から自らの「死に時」を悟って行動していたことがわかります。私たちは、もともと、死に対して謙虚であり、潔いのです。

 しかし、現代の医療とメディアは、それを許しません。統計から見ると、日本人は男で8・84年、女で約12・35年もの間「不健康期間」(平均寿命から健康寿命を引いた期間)があります。この期間の後半に、多くの人は寝たきりとなります。私が施設に行くと、早く死にたいという方に会います。

 「先生、もう人生の役目も楽しみも終わってますのや。早く逝かせてくれんかなあ」「こんなん、本当に殺生やわ」「ほんまにつらくてたまりません」

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