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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】徹底した「原料処理」「麹づくり」でくずれない酒を実現! 広島県「亀齢」 (1/2ページ)

★広島県亀齢(下)

 広島県の西条で醸される亀齢(きれい)は、今注目株の地酒だ。人気ランキングの上位に位置し、全国の地酒専門店からは、引く手あまたと聞く。限定流通の吟醸酒や純米酒を飲んでみると、辛口だが淡麗辛口とは違い、米の旨みが味わえる広島らしい酒である。

 杜氏は但馬杜氏で、蔵人も皆、兵庫県から来ている。全員が住み込みで、冬の半年間、酒中心の生活をする。人中心ではなく、酒優先、酒第一の生活をしなければ、良い酒はできないというのが、亀齢の考え方だ。

 つくりのポイントは2つある。まず原料処理の厳格さだ。吟醸酒でなくても、精米歩合60%以下なら、米はすべて手洗いしている。10キロずつに小分けし、3人1組で1日600キロの米を洗う。洗う水の温度を9~10度に合わせているのは、1%の精度で米に水を吸わせたいからだ。

 もうひとつのポイントは麹づくり。麹が酒の善しあしの8割を決めると考える亀齢は、蔵のサイズにしては麹室が大きく、2部屋が用意されている。吟醸酒でなくても、突きハゼと呼ばれる吟醸麹にこだわるため、通常、出麹まで48時間の麹づくりが、余裕で50時間以上かかるという。

 こうした独自の酒づくりが、品のあるくずれない酒をつくり出す。とくに評価の高い「辛口純米 八拾(はちじゅう)」は、近年亀齢の代名詞ともなっている。酒税法で、純米酒に精米歩合の規定がなくなった2005年のこと。世の中は高精白を競い合っていたが、どうせなら逆のことをしてみようと、精米歩合80%の純米酒をつくったのだ。

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