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【長生きは本当に幸せか? 医師・ジャーナリスト富家孝が問う】できる限り早く「死に方」の意思決定を 患者の意思を明確にする「人生会議」 (1/2ページ)

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 厚生労働省の意識調査によると、自分の死が近い場合に受けたい医療を、「家族とまったく話し合ったことがない」という人が6割に上っています。半数以上の人が、人生の終末期をどうすべきか、まだ決めていないのです。

 具体的に言うと、延命のための人工呼吸器や胃に直接穴を開けて栄養を送る胃ろう、がんなどの痛みを和らげる緩和ケアなどに関してどうするか、意思を明確にしていません。その結果、いざそうなったとき、本人も家族も、そして医療側も混乱します。

 ピンピンコロリ、つまり、それまで健康で、ある日突然、天国に召されるのが理想的な死に方とされます。本人も苦痛を感じることはなく、介護が必要になって家族に迷惑をかけることもないからです。しかし、そんな死に方ができる人はほとんどいません。

 「病院死」が8割の日本ですが、最近では、多くの人が「自宅で看取られて死にたい」「延命治療などはしないでほしい」と考えるようになりました。ここ10年ほどで、意識が大きく変わってきたことを感じます。

 「リビング・ウィル」という言葉があります。これは、「生前の意思」という意味で、「いざというときに受ける医療や処置をどこまで希望するか」を文書などにして残します。「事前指示書」とも言います。「遺言書」に匹敵する「エンディングノート」にも、これは含まれます。

 こうした言葉は、つい最近まで一般化していませんでした。10年前、患者がこんな言葉を言い出せば、医者は「うちはそういったことに対処できないので退院してほしい」と、平気で言ったものです。多くの医者は、医療は施すものであり、患者の意思で治療法を変えるなど考えたこともなかったのです。

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