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【生涯現役脳をめざせ!】「治る認知症」慢性硬膜下血腫とは 朝田隆「認知症予防」専門医対談

★(3)ゲスト 前原健寿・東京医科歯科大学教授(脳神経外科)

 ドロドロ血液の塊(血腫)が脳を圧迫して認知症のような症状を引き起こす。しかし手術でこの血腫を取り除けば元に戻ることから、「治る認知症」として知られているのが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」だ。「高齢だから認知症」の決めつけは危険かもしれない。ぜひ知っておきたい病気だ。

 朝田 慢性硬膜下血腫の原因について教えてください。

 前原 高齢者の場合、ほとんどが頭部の外傷です。外傷と言っても入院するような大ケガではなく、立ち上がったときにちょっと鴨居に頭をぶつけたというような、本人も覚えていない程度の比較的軽度な頭部外傷が原因のことが多いです。

 朝田 症状が出るのはいつ頃ですか。

 前原 3週間から2カ月くらいかかってゆっくりできた血腫が脳を圧迫して症状が出ますので認知症や脳梗塞と間違えられることが多い病気です。

 朝田 「アルツハイマーが急に進んで、8ぐらいあった記憶力が6ぐらいに落ちた」という患者さんが来院した際、脳梗塞を疑って検査をしたところ慢性硬膜下血腫でしたが手術で無事回復しました。

 前原 治療は基本的に手術です。局所麻酔で頭蓋骨に100円玉大の穴を開け、血腫に細い管を挿入して除去する「ドレナージ術」がよく行われます。

 朝田 気をつけた方がいいのはどんな人ですか。

 前原 足元がふらついて転倒しやすい高齢者と、血液をサラサラにするお薬(抗凝固剤)を飲んでいる人は出血するとなかなか止まりにくいので注意が必要です。頭部外傷の患者さんには、「後から頭痛が出たり調子が悪い時には必ずもう一度受診してください」と伝えています。

 朝田 直後の検査で「異常なし」でも安心してはいけない。

 前原 外傷後3週間以上して症状が出た時には、再度専門医を受診して適切な処置をすることが大事です。(協力・東京医科歯科大学)

 ■慢性硬膜下血腫を疑ったほうがよい症状

 ・急に認知症を発症した

 ・急に認知症の症状が悪化した

 ・歩き方がおかしくなった

 ・なんとなく頭が重くぼんやりするなど

 ■朝田隆(あさだ たかし)1982年東京医科歯科大学卒業。メモリークリニックお茶の水理事長、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。数々の認知症実態調査に関わり、軽度認知障害(MCI)のうちに予防を始めることを強く推奨、デイケアプログラムの実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。

 ■前原健寿(まえはら たけとし) 1985年東京医科歯科大学卒。同大講師、准教授を経て2012年11月より現職。専門・研究分野はてんかん外科、脳腫瘍の外科、脳血管障害の外科。脳卒中発症後24時間以内の急性期患者を24 時間365日体制で受け入れる付属病院「脳卒中センター」では脳神経機能外科診療科長としてチーム医療を先導する。

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